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ガソリン生活・伊坂幸太郎 読書感想

今回は伊坂幸太郎作品「ガソリン生活」の書評をしたいと思います。

車同士の会話を楽しむ

この「ガソリン生活」は車からの目線で描かれています。

言わば「機関車トーマス」の機関車同士が会話している様に、車同士が会話します。

もちろん話の内容は人間同士のドタバタ劇です。

ある家族が娘の恋人のトラブルや有名人の事故死に巻き込まれるという内容なのですが、その家族の所有車・緑のデミオや隣家の白のカローラからの目線で話が進みます。

車同士が会話する時点で、今までの伊坂作品には無い斬新な作品に感じました。

これまでの伊坂作品は大きく分けると3つに分類出来ます。

① デビュー作「オーデュボンの祈り」のようなシュールな作品

② 「陽気なギャングが地球を回す」のようなはちゃめちゃドタバタ劇

③ 「砂漠」「重力ピエロ」のようなじんわりと何かを感じる作品

この「ガソリン生活」は基本的には②のドタバタ劇なのですが、「陽気なギャングシリーズ」の様なはちゃめちゃ度はありません。

また最後の方は③のじんわりと感じる部分もありますが、「砂漠」「重力ピエロ」ほど強烈ではありません。

このように他作品の様な強烈な感じはありませんが、その分、車同士のウィットに富んだ会話を楽しむのが面白いかも知れません。

名言を楽しむ

伊坂作品には「その気になればね、砂漠に雪を降らすことだって、余裕でできるんですよ」(砂漠)や「人生というのは川みたいなものだから、何をやってようと流されていくんだ」(重力ピエロ)の様に多くの名言が登場します。

もちろんこの「ガソリン生活」にもあります。

いいかい、人間のやることの九十九パーセントは失敗なんだ。だから、何も恥ずかしがることはないぞ。失敗するのが普通なんだからな

クラクションが大きな音で鳴らされるのは、その音により、何かを知らせるためではなく、運転手の怒りや苛立ちを表明するためなのだよ

他にも印象に残る言葉がまだまだあります。

そんな印象に残る名言を人それぞれ見つけるのも伊坂作品の楽しみ方だと思います。

他作品の人物の登場を探す

伊坂作品は他の作品の人物が違う作品の中に登場することがよくあります。

この作品の中にも「オー!ファザー」「残り全部バケーション」の中の登場人物が登場します。

どの場面に誰が登場するのか探してみるのもこの作品の楽しみ方です。

読み終えた後、スッーと心地良くなる作品

伊坂作品は読み終えた後、じんわり感動したり、気持ちがスッーとして何だか心地良くなる作品が多くあります。

ガソリン生活」もそんな作品の1つです。

望月家の次男・亨のいじめっ子への仕返し、望月家と緑のデミオの関係など最後は何だか気持ちがスッーとしたり、じんわり感動したりします。

また時事ネタも随所に散りばめられてあったり、車同士の会話も楽しむ事が出来ます。

「ガソリン生活」この様に、これまでの伊坂作品とこれまでの伊坂作品には無かった作風が組み合わさった作品となっています。

まだ読んだ事の無い方は是非読んでみて下さい。

何より読み終えた後、自分の車が自分のことをどのように思っているか気になってしまいますよ。